核兵器のない世界へ向けて

トリノー10月3日トリノ大学エイナウディ校舎にて開催
     「核兵器のないヨーロッパは実現可能な夢」

朋・アミーチも参加しているピエモンテ州・核兵器、全ての戦争とテロリズムに反対するする市民、各種団体及び地方公共団体の連絡会議が今年の春から企画準備してきた講演会「核兵器のないヨーロッパは実現可能な夢」が、トリノ大学エイナウディ・キャンパスで開催された。講演者は、婦人国際平和自由連盟イタリア支部からジョヴァンナ・パガーニ氏、トリノ総合工科大学教授マッシモ・ズッケッティ氏、元フィレンツェ大学物理教授アンジェロ・バラッカ氏、トリノ大学教授,元イタリア共和国上院議員ジャンジャコモ・ミゴーネ氏の四名。連絡会議の一員、International Fellowship of Reconciliation の国連駐在員ザイーラ・ザファラーナ氏の司会で講演会は進行した。
                   
最初の発言者パガーニ氏が核兵器禁止運動は国際軍事問題や国際政治だけではなく、核エネルギー民間利用の問題点、医療健康、人権擁護、地球環境保全と幅広い問題に繋がっていると提示した。一般市民がそれぞれ別の問題として把握しているのは、マスコミの大衆操作の結果にしか過ぎない、と。続いて発言したバラッカ教授も、パガーニ氏と同様な現状把握。国連の核兵器及び軍事に関する条約の歴史を説明しつつ、現在2019年の時点で「核戦争は大昔に過ぎ去った危機」は、ただの錯覚にしか過ぎないと発言。ズッケッティ教授に課された論題は「核兵器はいくらかかるか」と言う経済的負担に関してであったのだが、核爆弾による人命による代償についてから講演は始まった。参加者の指定する都市に、もし核爆弾が落とされたとしたら、とコンピューターのシムレーションで投下の瞬間の死者数を表示した。その後、金銭的な損害にも触れ、イタリアの軍事費を10%削減するだけで、欠如している学校教育予算、医療保険の予算を補えるか、数値を示した。また、民間軍事を問わず、核エネルギー与える膨大な環境汚染について、講演者全員の意見が一致した。
                  
最後にミゴーネ氏が、今回の講演会のテーマの実現のためにやれることについての意見交換の音頭を取った。何人もの参加者が、質問だけではなく自分の意見を述べ活発な討論の場になった。イタリアでも他のヨーロッパ諸国同様、若者たちによるフライデー・フォー・フューチャーの運動は活気を見せているが、環境問題に軍事による地球汚染の問題をどう理解させるかも議論になった。世界中の関心を地球環境の問題に集めることが出来たグレタさんの功績は計り知れないが、パガーニ氏も、もしグレタさんが、地球汚染の一つの要因として「軍事」を持ち込んでいたなら、これほどマスコミを味方につけることはできなかっただろうと言う。バラッカ先生が「自分たちの意見を聞かせるのではなく、大人の自分たちが若い人と一緒に行進し、その中で個々の若者たちに語り掛け、視野を広げていく方法が一番と発言。若い人たちにも核兵器廃止運動の重要さを知らせる活動は、私たち大人の役目と言う結論で閉会となった。
朋・アミーチは講演者四人に広島平和資料館で入手した原爆ドームのバッチを贈呈した。さて、この記事の筆者は、討論を聞きながら二か月前に参加した「8・6ヒロシマ平和の夕べ」を思い出していた。広島長崎原爆投下と原発、基地の問題と三本の柱で成り立っていて、一見別々の問題のように見えても、実は根本的なところで繋がっている、と、主宰者から伺った。
今回トリノ大学での講演者のアンジェロ・バラッカ教授と知り合ったのは、
2011年6月の原発建設をめぐるイタリア国民投票の選挙運動の場であった。朋・アミーチはその時点では結成していなかったが、一年後、バラッカ先生の呼びかけで「日本政府に福島原発事故の真相を質し、大飯原発再稼働反対の署名活動」に朋・アミーチは積極的に参加した。そして、7年4か月後、「イタリアよ、国連の核兵器禁止条約に批准せよ」の運動で再会。「この地球上で平和な世界の建設を目指す」という目的が同じなら、結局は道連れ、それぞれの歩みの速度が変化しても必ず一緒に並んで歩く機会は一度ではないことを実感した。(文責:和田千重)連絡会議の写真集はこちらから⇒